情炎の焔~危険な戦国軍師~
油断したらスキップしそうになる気持ちを抑えつつ、城下町へ来た。
当たり前の話だけど明日がバレンタインだからって、侍女の仕事がなくなるわけではない。
真面目に買い出しに来たのだけど…。
「いらっしゃい、いらっしゃい。おいしい饅頭はいかがですか~?」
饅頭屋の壮年のおじさんのキラキラな笑顔が太陽みたいに眩しい!
朝餉でお腹いっぱいだって左近様に言ったばかりなのに食べたくなるじゃない!
「おや、そこの娘さん、おひとついかが?」
「わ、私!?」
おじさんの視線は確実にこちらに向いている。
「え、いやあのまた来ます!」
危ない危ない。
私は買い出しに来たの。
「それにしても」
雑踏を眺めて思い出す。
左近様と歩いた佐和山城下。
八重桜の髪飾りを買ってもらったり、初音さんという元カノと出会ってしまったり。
あの時、左近様は私をかばってくれた。
初音さんからも、突然の雨からも。
そんな男らしい態度も、低い声も、私の手などすっぽり包んでしまいそうに大きな手も、私を抱く腕も、すべてが愛おしい。
「左近様…」
ああ、さっきまで言葉を交わしていたのにもう会いたい。
素早く買い物を済ませて大坂城に戻り、私は左近様の部屋に急ぎ足で向かった。
「左近様あ」
「キャー」
なんだか賑やかだ。
その華やいだざわめきの方へ行くと、左近様は5人ほどの侍女に騒がれていた。
彼は侍女達を見守るかのように穏やかな笑顔を浮かべている。
なんで?
なんでなの?
両思いのはずなのになんでこんなに胸が苦しいの?
なんか…私といる時より楽しそう?
急な不安に駆られた私は侍女の集まりの中から左近様を連れ出し、廊下で言葉をぶつけてしまった。
「私とあの侍女達とどっちが大切なんですか」
当たり前の話だけど明日がバレンタインだからって、侍女の仕事がなくなるわけではない。
真面目に買い出しに来たのだけど…。
「いらっしゃい、いらっしゃい。おいしい饅頭はいかがですか~?」
饅頭屋の壮年のおじさんのキラキラな笑顔が太陽みたいに眩しい!
朝餉でお腹いっぱいだって左近様に言ったばかりなのに食べたくなるじゃない!
「おや、そこの娘さん、おひとついかが?」
「わ、私!?」
おじさんの視線は確実にこちらに向いている。
「え、いやあのまた来ます!」
危ない危ない。
私は買い出しに来たの。
「それにしても」
雑踏を眺めて思い出す。
左近様と歩いた佐和山城下。
八重桜の髪飾りを買ってもらったり、初音さんという元カノと出会ってしまったり。
あの時、左近様は私をかばってくれた。
初音さんからも、突然の雨からも。
そんな男らしい態度も、低い声も、私の手などすっぽり包んでしまいそうに大きな手も、私を抱く腕も、すべてが愛おしい。
「左近様…」
ああ、さっきまで言葉を交わしていたのにもう会いたい。
素早く買い物を済ませて大坂城に戻り、私は左近様の部屋に急ぎ足で向かった。
「左近様あ」
「キャー」
なんだか賑やかだ。
その華やいだざわめきの方へ行くと、左近様は5人ほどの侍女に騒がれていた。
彼は侍女達を見守るかのように穏やかな笑顔を浮かべている。
なんで?
なんでなの?
両思いのはずなのになんでこんなに胸が苦しいの?
なんか…私といる時より楽しそう?
急な不安に駆られた私は侍女の集まりの中から左近様を連れ出し、廊下で言葉をぶつけてしまった。
「私とあの侍女達とどっちが大切なんですか」