情炎の焔~危険な戦国軍師~
「あの…これ、バレンタインなので」


それは、丸ではなく少し形がいびつな手作りのお饅頭だった。


あの笑顔の素敵なお店のおじさんに交渉して、作らせてもらったのだ。


「俺のためにわざわざ?」


フッと左近様の表情が緩む。


「いや、あの、前も言いましたけど、バレンタインには義理ってものがありますでしょ?別に左近様のためだけに作ったわけじゃないですよ?」


せっかく彼のために作ったのに、ここまでやってしまった自分が急に恥ずかしくなって、ついそんなことを言ってしまう。


「分かってますよ」


彼は笑みを崩さずにそう言って、私の手にあるお饅頭をぱくっと食べた。


「友衣さんの気持ちがたくさん入ってます」


「あ…」


恥ずかしくてついもじもじしてしまう。


「しかし、この味」


「え?」


まさか口に合わない!?
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