情炎の焔~危険な戦国軍師~
「どうしました?」
褥が引きっ放しの部屋で、藤吾はまるでこれまでのことなどまるで忘れているかのようにあっけらかんとした様子で俺を迎えた。
「あなたが訪ねて来るとは珍しい。ま、大方、彼女についてのことでしょうが」
図星なのに、すべて見透かされたようなその顔が面白くない。
「分かったように言うな」
そう言った時、褥の上で何か小さなものが星のように光るのが見えた。
「?」
それは友衣さんがほんの少し前まで耳に付けていた「ぴあす」だった。
その刹那、雷が体内を駆け巡る。
まさか。
「寝たのか?」
「え?」
「お前、友衣さんと寝たのか!?」
「…ええ」
ぐっ、とその言葉が心にのしかかった。
思わずぴあすに駆け寄り、それを拾い上げる。
すると布団から彼女の髪の淡い香りがふわりと舞い上がった。
俺の好きな香りが、藤吾の布団(こんなところ)から…。
衝撃が体を貫く。
すると追い討ちをかけるように背後から声がした。
「彼女、大人しそうな顔して案外可愛い声出すんですね」
しゃべるな。
「フフ、おまけになかなか従順で」
汚らわしいお前が友衣さんのことを我が物顔でしゃべるな。
「藤吾!貴様、よくも彼女を汚してくれたな!」
「汚すだなんて。愛を交わしただけですよ」
「ふざけるな」
「そういう言い方をするということは、僕に抱かれた彼女は汚らわしい存在と考えているんですか?」
「違う」
そんなつもりはない。
ただ、彼女に近付く男、ましてや彼女と関係を持つ男など許せなかった。
許したくなかった。
「貴様が汚らわしいんだ」
「何とでも言えばいいでしょう」
藤吾はまるで気にしていないようだ。
「彼女は心も体も僕のものになったんです。彼女はもうあなたのものではない」
また脳裏にちらつく。
友衣さんの泣き顔が。
体が一瞬で沸騰したように熱くなり、握った拳がひとりでに震え出す。
「許さない…!」
褥が引きっ放しの部屋で、藤吾はまるでこれまでのことなどまるで忘れているかのようにあっけらかんとした様子で俺を迎えた。
「あなたが訪ねて来るとは珍しい。ま、大方、彼女についてのことでしょうが」
図星なのに、すべて見透かされたようなその顔が面白くない。
「分かったように言うな」
そう言った時、褥の上で何か小さなものが星のように光るのが見えた。
「?」
それは友衣さんがほんの少し前まで耳に付けていた「ぴあす」だった。
その刹那、雷が体内を駆け巡る。
まさか。
「寝たのか?」
「え?」
「お前、友衣さんと寝たのか!?」
「…ええ」
ぐっ、とその言葉が心にのしかかった。
思わずぴあすに駆け寄り、それを拾い上げる。
すると布団から彼女の髪の淡い香りがふわりと舞い上がった。
俺の好きな香りが、藤吾の布団(こんなところ)から…。
衝撃が体を貫く。
すると追い討ちをかけるように背後から声がした。
「彼女、大人しそうな顔して案外可愛い声出すんですね」
しゃべるな。
「フフ、おまけになかなか従順で」
汚らわしいお前が友衣さんのことを我が物顔でしゃべるな。
「藤吾!貴様、よくも彼女を汚してくれたな!」
「汚すだなんて。愛を交わしただけですよ」
「ふざけるな」
「そういう言い方をするということは、僕に抱かれた彼女は汚らわしい存在と考えているんですか?」
「違う」
そんなつもりはない。
ただ、彼女に近付く男、ましてや彼女と関係を持つ男など許せなかった。
許したくなかった。
「貴様が汚らわしいんだ」
「何とでも言えばいいでしょう」
藤吾はまるで気にしていないようだ。
「彼女は心も体も僕のものになったんです。彼女はもうあなたのものではない」
また脳裏にちらつく。
友衣さんの泣き顔が。
体が一瞬で沸騰したように熱くなり、握った拳がひとりでに震え出す。
「許さない…!」