情炎の焔~危険な戦国軍師~
-サイド友衣-


客人を出迎え、案内せよと言われたので玄関にいると、左近様がやって来た。


「おや、今日はあんたが案内してくれるんですか」


「あ、はい。こちらへどうぞ」


指示されたお部屋に案内し、障子を静かに閉める。


それを見て三成様は早速話を始めた。


上杉家が謀反の疑いを巡って徳川家と対立している。


そして問罪使を突っぱねているらしい。


あの歴史小説の通りに事態は動いている、と思った。


このままいけば戦が始まってしまう。


三成様達を守りたくてここに居させてもらっているが、出来ることなら戦を回避したい。


だけどどうやって?


「戦は…避けられないのですか?」


左近様に聞いたって仕方ないのに、思わず玄関まで送った際に言ってしまった。


「友衣さん」


左近様は少し困った顔になる。


「悲しいですが戦乱の世を終わらせるためには戦しかないんです。特に家康の力は強大すぎる。隙を見て潰してしまわねば天下は徳川のものになってしまう」


「でも勝ち目はあるのですか」


すると左近様は


「さあ」


と他人事のように笑った。


「なんで笑うんです。勝てない戦に命をかけるなんて。どうして」


三成様の、左近様の運命を知っているからこそ悲しくなる。


左近様はまだ困ったような顔で、なだめるように私の頭を優しくぽんぽんと叩いた。
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