情炎の焔~危険な戦国軍師~
「可愛いなあ、これ」


それは八重桜の飾りのついた髪飾りであった。


どことなくさっき見た飴細工に似ている。


「へえ。友衣さんはこういうのが好きなんですか?」


左近様が隣にやって来て聞いてくる。


「桜は好きですよ。あ、でもまた俺達武士の命みたいとか言わないで下さいね」


「えっ」


「約束してくれるんでしょう?生きて帰って来てくれるって」


「はい」


そう力強く頷いてくれた。


その返事に安心し、微笑みをこぼしながらその店を出る。


そして少し歩いて振り向くと左近様がいなくなっていた。


「左近様?」


慌てて引き返すと、さっきの店から本人登場。


ほっとしたのもつかの間、左近様は私の顔を見るなりふいに前髪に触れてきた。


「えっ」


こんな街中でなんて大胆な。


とか思ってたら何かが付けられた。


「あげます」


それを聞いてまさかと思い、現代から持ってきたコンパクトミラーで自分を見る。


前髪には先程の八重桜の髪飾りがついていた。


「わあ、ありがとうございます」


嬉しくて再び笑みがこぼれてしまう。


「うん。よく似合ってますよ」


「本当に嬉しいです。後生大事にしますね!」


するとそんな私を見て、なぜか左近様は頬を赤くしていた。
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