情炎の焔~危険な戦国軍師~
「うーん」


気付くと、私はキャリーバッグを持ったまま枯れた草むらの上に寝そべっていた。


「あ、あれ?」


なんで草むらの上なの?


さっきまで自室にいたはずなのに。


ここ、どこ?


建物などは一切なく、落葉したのか丸裸の木や乾いて茶色くなった芝が生えているだけ。


「っていうか寒っ。凍っちゃうくらい寒いとかどういうこと?」


まるで真冬だ。


おかしいな、7月のはずなのに。


Tシャツにショートパンツという格好の私は身震いした。


「ええっと…夢じゃないよね…」


途方に暮れていると、遠くから馬の蹄のような音が聞こえる。


「って馬がこんな所にいるわけないか」


いかんいかん、飛燕の如く舞えのやり過ぎだ。


と、思っていると蹄の音と共に、本当に馬が前方に見えた。


「え、なんかこっちに来るんだけど」


馬は私よりやや右の方で止まった。


誰か乗っている。


馬上の人はこちらを見て怪訝そうに、そして威圧的に尋ねた。


「お前は何者だ!」


あれ、この人…。
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