情炎の焔~危険な戦国軍師~
「うう…」


目を開けると、そこには心配そうな左近様の顔。


ああ、前にもこんなことがあったな。


確か半蔵さんの一件の時だ。


「あ、起きましたか」


左近様が柔らかく微笑む。


三成様もそこにいた。


「大丈夫か?」


「はい」


私が起き上がろうとすると、2人は慌てて止める。


「友衣さん、無理はいけません」


「バ、バカ。無理するな」


お言葉に甘えて再び布団に体を預ける。


そんな私を見て三成様は鼻で笑うように言う。


「やはり左近、お前について行ってもらって正解だった。こいつがただで帰って来るとは思えなかったからな」


「あの、一応病人なのでもう少し優しくお願いします」


そう言うと、急に真面目な顔になった三成様がぽつりと聞く。


「いつから調子が悪かった?」


「実感したのは雨が降り始めてからですが、考えてみれば出かける前から心当たりはありました」


「バカが!それならそう言え。言わないからこうなるのだ。言ってくれれば、無理にでも外には行かせなかったのに」


珍しく感情的な三成様。


「まったく。オレがどんなに心配したか…」


そこまで言って彼はハッとした顔になり、ぷいと横を向いてしまった。


「恥ずかしいことを言わせるな」


そんな様子を見て私と左近様はくすりと笑い合った。
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