情炎の焔~危険な戦国軍師~
「まあ、せいぜいゆっくり休め」


そう言い残し、三成様は戻っていった。


「言い忘れてましたが、ただの風邪みたいです。2、3日安静にしていれば良くなりますって」


左近様が思い出したように言う。


「はい。本当にご迷惑をおかけしてすみませんでした」


「そんな目で見ないで下さい」


「え?」


何を言ってるの?


「そんな潤んだ目で見られたら俺…」


「…っ!」


なんだか恥ずかしくなったので話を変える。


「あ、そういえば雨が降る寸前、何か言いかけてましたよね。何だったんですか?」


「あ、あれは…」


「あれは?」


恥ずかしそうに顔を背けているので、私はあえて笑顔で迫った。


「秘密です」


「え、言いかけておいてなんですか。それ」


「それより早くおやすみなさい」


「もう」


すねながらも私はいつのまにか眠ってしまった。


「俺はあんたのことが…」


そう切なげな声で左近様が呟いたのを、私は知らなかった。
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