情炎の焔~危険な戦国軍師~
刀の鞘に刻まれたあのドラマやゲームでよく見る大一大万大吉の家紋、間違いない。


「石田三成…?」


「お前、なぜオレの名を?」


綺麗な顔を歪めて石田三成みたいな人が聞いてくる。


「もしや…間者か!?」


言うなり突然目の前に銀色の細い物が突き出される。


「うわっ」


日本刀だ。


しかも本物に見える。


「答えろ」


「ち、違います。私は各務友衣と申しますが何しろ身寄りがなく、ここで途方に暮れていました折…」


真剣の鈍い輝きを前に震える声で何とか答える。


「身寄りがない?」


「いや、えっと、とりあえずここがどこだか分からないです」


「お前、おかしな格好だが、異国の者か?」


「日本人ですが」


そう言いながら私はまた焦燥感に襲われていた。


「石田三成」という人。


現代では普通なこの格好がおかしいと言う。


さらに、辺りが現代らしくない。


田舎ににしてもどこか違和感がある。


空気がなんだか違うというか、落ち着かないというか。


つまり…。


でも、なんてこった。


「戦国ゲームは好きだけど、戦国時代にタイムスリップなんてありえない!」
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