情炎の焔~危険な戦国軍師~
「げえむ?た、たい…?わけのわからんことを言うな」


石田三成みたいな人…ではなく本物の三成様は軽く混乱しているようだ。


「はっ、失礼しました」


もう何だかわけがわからなくなってしまった私は思わず土下座した。


「おかしな奴だな」


先程から仏頂面の三成様の口元が、わずかながらほころんでいる。


「お前…色々怪しいが悪い奴ではなさそうだ。良かろう。オレと共に来い」


「え、いいんですか!?」


思わぬ救世主の登場に、ぱっと私の表情が自然に明るくなる。


「どうやらお前は少なくとも間者ではないようだからな」


「わあい。ありがとうございます」


しかし、次に発せられた一言で上がったテンションは急降下するのであった。


「間者にしてはバカで間が抜けている」


「うわっ、初対面でひどくないですかそれ」


「本当のことを言ったまでだ」


「くっ…」


どうせ私はおっちょこちょいで成績平凡な大学生ですよ。


「とりあえず」


三成様がキャリーバッグを押し付けてくる。


「この奇妙な箱はお前のものだな?」


「ええ、まあ」


奇妙な箱って。


「そうか」


そう言って馬にキャリーバッグをくくり付けてくれた。


「では参ろう」


三成様は私を横抱き(俗に言うお姫様抱っこ!)にしてひらりと鞍に跨がる。


見た目は華奢なのに…。


そのままではあまりに恥ずかしいので私も手伝ってもらいながらなんとか馬に跨がった。


「しっかり手綱につかまっていろ。こんな体勢で悪いが、行くぞ」


私が前にいるので、三成様も手綱を握ると抱きしめられるような形になる。


思わず熱のこもった眼差しで後ろの彼をチラ見した。


切れ長の涼やかな目に、整った形の鼻に、ほどよい厚さの唇。


ゲームとはもちろん違うけど、すごく整った顔。


(さすが、飛燕の如く舞え界の人気No.1男…)


そしてひとつの期待を抱きながら、三成様と共に佐和山にあるという彼の城に向かった。
< 8 / 463 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop