情炎の焔~危険な戦国軍師~
-佐和山城-


三成様に連れられて城の奥へと入っていく。


途中、すれ違う侍女や兵士と思しき人々の視線がぐさぐさ突き刺さる。


まあ、この時代にTシャツとショートパンツなら浮かない方が変か。


見た目は立派なこのお城。


が、中は大河ドラマとかでよく見るのとは大違い。


立派な襖などとんでもないし、壁だって装飾なんてあったもんじゃない。


そういえば何かの本で読んだ。


関ヶ原で東軍が西軍を破り、佐和山城をも落とした時、さぞ豪華な城なのだろうと中に入ったら実際は粗末で驚いたという話を。


無駄なお金は使わないってことかな。


なんかかっこいい。


しかしその直後ふと、悲しみを覚えた。


そうだ。


今、私の前を歩いている三成様、そしてゲームで一番好きな家老の島左近は関ヶ原で…。


「おい」


「…」


「何を変な顔をしている」


気付くと三成様が訝しげにこちらを見ていた。


「へ、変な顔って。それ女子に言うことですか」


「いいからさっさと付いて来い」


そう言ってすたすたと歩いていってしまう。


「ま、待って下さいよ」


私は慌てて後を追った。
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