情炎の焔~危険な戦国軍師~
「なんか不機嫌そうですね」


急に顔を覗き込まれてドキッとする。


「いえ、不機嫌というわけでは。ただ」


「ただ?」


「複雑な気分はしています」


「複雑な気分ですか?」


私はこくりと頷く。


さっき、侍女達が左近様にキャーキャー言っていた。


後ろにいた侍女なんて目が合ったと喜んでいた。


それを話すと、左近様は笑い飛ばした。


「それは勘違いです。俺はあんたを見て笑いかけたんですよ」


「でも、左近様を好きなのって私より年下の侍女達が多くて。私なんかでいいのかなって」


せっかく左近様に好きだと言ってもらえたのに、自信を持っていいのかわからなくなってしまう。


「俺は小娘に興味はないです」


「そうなんですか?」


すると彼はクスッと妖艶な笑みを浮かべて私の肩を抱き寄せ、囁いた。


「小娘だと、褥の上のことを一から教えてやらなきゃならないんでね」


「!」
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