小さなあくび。
ドタバタドタッと
ただならぬ物音で
一階から誰かが駆け上がってくる。
この気配は面倒が起きる気しかしなくて
急いでタオルケットで全身を覆う。
寝るんだ!あたし!
寝るんだ!笹!
「さーちゃん!!!!!!」
ガチャっと、
許可もなく部屋に入ってくる
そんなことができるやつ、
この世でたった2人しかいない。
どうやら、そのうちの1人。
慶太である。
「さーちゃん、起きてー!
もう10時すぎてるよー!
起きてよー」
人の部屋に勝手に入って
部屋の主を起こそうなんて
100年早いわ!!
1つ年下の慶太に
頭の中でだけ反論する。
あたしは、優雅な休日を
過ごしたいんだっつーの!
「昂(kou)兄に怒られちゃうよ~。」
ボソッと独り言のようにボヤいた
慶太の言葉が
耳に飛び込む。
「昂兄、帰ってきてるの!?」