小さなあくび。
東京の美術大学に進学が決まり、
18歳から、一人暮らしをはじめた。
最初は、お気楽で快適だったが
慶太と笹のうるささが恋しくなった。
一ヶ月に一回以上、必ず帰省し、
二人の話を聞いたり、
絵のモデルになったもらったり。
ごくごく、自然の兄弟の触れ合いだと思っていた。
けど、周りからはそうは思われなかった。
20歳の時、付き合っていた彼女にケンカをするたび、
異常。
と罵られた。
幼馴染だかなんだか知らないけど、13歳の女の子モデルにして、あんたなんかただのロリコンだよ!!
と。
今でもなぜか復唱できるほど、頭に残っている。
それほど、衝撃的なセリフだった。
結局、その彼女とはすぐ別れ、その後付き合った女たちには笹をモデルにした絵を見せたことはない。
笹を描くことは、俺の中で、誰にも言えない罪の時間となっていった。
会うたびに成長する笹を見ることが辛くなった。
そして、段々と笹を避けるようになった。