小さなあくび。
この笹の言葉に
甘えてしまいそうな自分がいることに気付いてしまった。
芙美子の笑顔が浮かんだ。
「ゆっくりでもいいから、蹴りつけてきてね。」
芙美子には、笹のことを
笹への気持ちを嘘偽りなく話せた。
その上で、
俺を実家へ送り出した。
強い強い人。
その芙美子を裏切ることはできなかった。
笹への思いは、
過去のものとなりかけている。
ただ、
笹を傷つけたくはなかった。
その夜を最後に
実家へは、帰れない。
笹が、ちゃんと好きな人ができるまでは
俺と会ったらいけない。
と、決めた。
決めたはずなのに。
2人でなんか、会うべきじゃなかった。
考えが浅はかすぎた。
慶太の言葉が蘇る。
「中途半端なことしたら許さねぇから!」
そうか、
慶太は俺なんかよりも
俺のことよくわかってたんだな。
「昴兄、あれ食べたい!」
この子にほんとうの笑顔をあげられるのは、俺じゃ、ない。
「よし、行くか。」