小さなあくび。
「必ず、届くと思う。
想いが強ければ、必ず。」
そう、笑う芙美子さんからは
寂しさがにじみ出ていた。
それからは、芙美子さんの仕事の話、俺の大学やバイトの話、
などから自分のこと、これまでの恋愛経験など様々なことを話した。
だけど、電話から一時間が経っても2人が戻ってくる気配はなかった。
「俺、昴兄が帰ってきたら、殴っちゃいそう、」
「仕事に支障が出るから顔はやめてあげなね。」
「どこならいいかな?」
「うーん、脇腹当たりかな。」
芙美子さんは優しく話の腰をおらず俺の話を受け止めてくれる。
自分だって複雑な気持ちが交差してるだろうに…、
「芙美子さんも、殴っていいよ?」
「あたし、どちらかといえば蹴りの方が得意かな」
「じゃあ、蹴りで。」
ピーんポーン
インターフォンが鳴り、
2人で玄関に駆けて行く。
扉が開き、
昴兄だけが顔を出す。
「笹は?」
「送ってきた、」
その言葉を聞き、俺は玄関を飛び出す。
昴兄なんかに、
負けてたまるか。