小さなあくび。
芙美子を家に送り、
帰宅すると、
殴られた。
目の前に立っている慶は、
静かな怒りに燃えていた。
「昴兄のアホ、
自分勝手、
自分だけ、自分だけスッキリして
笹のこれからとか、考えたのかよ?!」
全くその通りで、
言い返すことはできない。
「ずーっと、
ずーっと馬鹿みたいに
昴兄昴兄って、
ずーっと…ずーっと。
あいつが今まで
昴兄に自分の気持ち言わなかった努力とか、
そういうの全部、
全部、踏みにじってんだよ!」
わかってたことを、
改めて言われて
胸がえぐられるような、そんな気分。
29にもなって、情けない。
人間、精神が成長するのって、
何歳までなんだろう。
そんなことをぼんやり考える。