小さなあくび。
「なんなんだよ、
芙美子さんだって、
平気なわけ、ないのに。
自分勝手すぎんだよ!クソ!」
言いたいことだけ言うために俺を待ち構えていたように、話し終わるとすぐに自分の部屋へ消えて行った。
これから、どうしよう。
ただただ、笹を困らせたかったのかもしれない。
俺のことを、思っていてほしかった。
自分で守ることはできないくせに、俺を好きでいて欲しいなんて。
自宅に帰るのはだるくて、食器棚の一番下に隠してある親父の日本酒を取り出し、グイッと飲み干す。
やってられっか。
小さい頃の笹の笑顔がフラッシュバックする。
俺が、七歳も年をくってなけりゃなぁ。
ほんとに、笹が猫だったらよかったのに。
なんて、考えている自分がいた。
婚約者も守れないくせに、自分を正当化することばっか考えてる。
最低だ、俺。