小さなあくび。
家まで送ってくれると、おやすみ、と困った顔で呟いて、昴兄は去って行った。
もう、頭は撫でてくれないの?
フラフラと自室のベッドまでたどり着き、崩れこむように横になった。
おばちゃん、入るよー!
という、元気な声が聞こえてくる。
部屋の鍵を閉めたい気分だけど、今はそんな体力ないや。
「さーちゃん、」
「こないでー、」
「いやだ。」
そう言って、ベッドの淵に座る慶の気配。
「布団に鼻水つくよ?」
「いーの!」
「きったなー」
「いーの!!」
「さーちゃん、頭なでていい?」
涙が溢れて、顔が上げられない。
「聞かないでよ、」
優しく、頭を撫でてくれる。
その手の温かさにまた、涙が止まらなくなること、少しだけ似ている声に、昴兄を重ねてること、慶は知ってる?
ごめんね。
最低な幼馴染で。