小さなあくび。
「昴兄ね、あたしのこと、好きだったんだって。」
「うん、」
「幸せだなって、思っちゃった」
「うん、」
「あたし、。
まだ、昴兄のこと、まだ、好きだよ。
大好きだ。」
「うん、知ってるよ。」
「ごめん、ダメだ。
今日は、もう何も考えらんない。」
“うん、じゃあ、また明日ね。”
そう、頭を二回撫でて慶は静かに部屋を出て行く。
頭がぼんやりとする。
今日、一日が終わったら、すべての気持ちをリセットしようと思ったのに。
胸がズキズキして、
顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いて、
いっぱいいっぱい慶に愚痴を言おうと思ったのに。
“ 好きだった、 ”
その一言が、こんなにも嬉しいなんて。
こんなにも悔しいなんて。
ここから何かあるはずがないってわかっているのに、諦め、切れないじゃん。