小さなあくび。
昨日の夜は、部屋に戻ってからも落ち着けなかった。
いつもよりも長い距離をランニングし帰宅するが、まだ、さぁちゃんの部屋の電気は消えていなかった。
昴兄は、リビングのソファで酒を飲み残してなにもかけずに寝てる。
薄々は気付いていた。
昴兄が、さぁちゃんを好きなこと。
けど、それは、兄弟的愛着だと思っていた。
過保護すぎるだけなんだと、そう思っていたけど。
“ 好きだったんだって、”
そう言った、笹の鼻声が脳内にこだまする。
「まじかよ、」
勝ち目、なかったんじゃん。
昴兄が、笹を見つめる時の少し苦しそうな目は、
“ 気持ちに答えられないから ”
じゃなく、
“ 好きだから ”
だったの?
昴兄が急に帰って来なくなったのも、そのせい?
よくよく考えれば考えるほど、この何年間を振り返れば思い当たることばかりだった。