小さなあくび。

慶太に手を繋がれたまま家に帰った。


“ また、明日。”






そう呟き、家の中へ入る。








我ながら、酷いね。



慶太の気持ちに気付いていなかった、と言ったら嘘になる。


だけど、向き合う勇気もない。



あたしの好きな人は、昴兄、だから。





それを、この何日間かで痛感してしまったから。





だけど、これって。




あたしと昴兄の関係のようで。
昴兄のことを好きで辛かったことをそのまんま慶太にしてしまっているんじゃないかって。






それに…

抱きしめられて、ドキっとしたのも事実。


酔っていた勢いだって、あんな声で“ 好き ”なんて言われたら。


また心臓の鼓動が速くなる。



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