小さなあくび。
玄関で立ったまま、頭を抱えて悩んでいると
「わ!!笹、いつ帰ってたの!」
と、お母さんが飛んできた。
今は、お母のハイテンションに付き合う気分じゃないんだけどなぁ。
「来て、来て!」
と、リビングに引っ張られ辿り着く。
じゃーん!!
と自慢気に、招待状を私の顔の前に持ってきた。
「ほんっとに、昴ちゃん結婚するのね~」
「うん、そうだね。」
昴兄の、
結婚式の
招待状。
ほんとに、結婚するんだ。
昴兄は、結婚する。
頭の中では、簡単に
昴兄が結婚する
という文字が変換される。
なのに、やっぱり、気持ちは付いて行かなくて。
「ごめん、疲れたからもう寝るね。」
「あら、そ?
笹のドレスの話もしたかったんだけど。」
「うん、また休みの日にして。」
「わかったわ。おやすみ」
「おやすみ」