小さなあくび。
スーツを脱ぎ、ベッドに倒れこむ。
結婚式のドレス、か。
結婚式、行きたくないよ。
芙美子さんになんか会いたくない。
昴兄、やっぱずるいよ。
慶太の部屋の電気が消える。
また、走りに行くのかな、
昔は一緒に走ってたのに。
たまーに、昴兄も一緒に。
会わなければ良かったのかな。
今まで通り、昴兄のことはただの憧れで、程よく好きな人を作って、付き合って、別れて。
そんな日常が続いてくはずだったのにさ、全然、消えていかない。
昴兄の顔が頭から消えないよ、
鈍い音で携帯が震える。
短く、その音は途切れた。
メール?
あたしが彼氏と別れたことを気にして、
同じゼミの果歩からの男友達紹介するよメール。
少し前なら、だいたい前向き返事をしてた私だけど、、今は、他の人のことなんか考えられない。
昴兄と、慶太のことで、頭いっぱい。
なんで慶太のことでも悩まなきゃいけないんだよー
アホ兄弟!
と、心で罵倒しながらも、ふぅ。と温かいため息が出た。