小さなあくび。


3年前の夏、大学時代の同級生数名とその友人たちが集まって昼間っからバーベキューをした。


総勢25名ほどが集まった。その中の一人、仲が良かった女友達が、連れてきた綺麗な女。


それが、芙美子との出会いだった。





俺はいつも通り、ビールを飲んで、適当なこと喋って、一人着々とホイル焼きを作ってみんなに振舞って。

初めましての人たちにも適当な笑みを浮かべて乾杯で挨拶してた。




「この子さ〜、かわいいでしょ?」


ホイル焼きと周りの群衆を背景にやってきたのは、女友達の紗江。

かわいいでしょ、と言われてる方は、知らない女。


「かわいいね。」


酔っ払っいの紗江をあしらうように、相槌を打ち、知らない女に笑みを投げかける。



「ごめんなさい。紗江、飲みすぎたっぽくて。」



何も悪くないのに、むしろ迷惑かけられてる側なのに、謝る知らない女。困った笑顔が綺麗だった。



「こいつ、酒好きなくせに弱いよね。大変だね、お友達も。」


「いやいや!全然まだ強いから!」

すでに意味のわからない紗江語録が始まったがそれは聞き流す。



「俺、昴。よろしく」

とりあえず、この女二人組は立ち去る気はなさそうなので、知らない女に挨拶をする。


「私は、天川 芙美子です。」


酔ったまま、荷物置き場のシートで寝始めた紗江を尻目に仕方がなく、残された天川 芙美子と話を続けた。

芙美子さんは、やっぱり少し困った顔で微笑みながら俺のくだらない話を聞いていた。



そんな俺たちの始まりから。もう3年以上が経つんだな。

< 65 / 66 >

この作品をシェア

pagetop