小さなあくび。
「おばちゃーん、入るよ~」
この家に入る時は
ノックなんかしなくて、
いつも、
笹ちゃんは、うちの娘同然!
あたし、娘欲しかったのよ~!
と可愛がってくれているおばさんには
母には相談しづらいことまで
話すなかになっていた。
「あ。はじめまして!笹、さん?」
身長がスラーっとしてて、
ふわふわの長い黒い髪がツヤツヤしてて、
ナチュラルな化粧に
パステルカラーの
柔らかい素材のワンピースを身に纏って。
あぁ、叶うはずない。
昂兄とその人は
お似合いすぎて、
絵になりすぎて、
・・・なんだか笑ってしまうくらい。
「笹、固まりすぎ。」
奥から昂兄が出てきて
ニヤッと笑う。
そして、クシャクシャと
あたしの髪の毛を頭を撫でる。
ずるいなぁ。
30目前のおっさんのくせに
かっこよすぎるんだよ、昂兄。