総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
おかしいな。
怯んだり驚いたりした瞬間って、手の力が抜けるはずなのに。
男子と女子の間に力の差があるとはいえ、隙を突けば絶対に拘束から逃れられる…と思ったのに。
『…………』
手首に力を込めたまま、恐る恐る顔を上げた私は
「あー…痛かったなー…」
ニヤリ。意地悪く笑った雷河に、背筋が凍るのを感じた。
(怖ッ!!その笑顔、怖ッ!!)
しかも、頭突きされても余裕ってどうよ!?なんか凄く悔しいんですが!!
『くっそー…』
不満を口に出しながら、不適に微笑む雷河から目を逸らす。
と。
「よそ見してていいのかよ?」
『……………っ!!』
再び、甘い声が耳元で響いた。