総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
リハビリを終えた俺を待ち受けていたのは……飛鳥が自室に引きこもった、という信じ難い事実だった。
俺は慌てて飛鳥の部屋の前に行き、閉ざされた扉の前で必死に呼びかけた。
『なぁ、聞いてくれよ!俺は大丈夫なんだってば!!』
俺は大丈夫だと。
怒ってなんかいない、と。
何回も、伝えようとした。
……けれど
『私はあの時…【大輔】と【悪鬼】、二人ぶんの人生を狂わせたんだ。
例え大輔が許そうとも、私は自分で自分が許せない』
『ごめんなさい、ごめんなさい…』
俺の言葉が飛鳥に届く事は、ついになかった。
……そのうちに、俺は気付いてしまった。
『飛鳥が謝っているのは、自分の中の罪悪感を軽くするため』
――つまりは、自分のための行動なのだと。