総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜




『謝る』というのは、自分の間違いを認めた上で相手に許しを求める行為。


だから俺は、飛鳥もそう思っているのだと――俺に許して欲しいから謝っているのだと、そう思っていた。


だから俺は、飛鳥を許した。


許せば元の関係に戻れると、なんの確証もなしに信じていた。


……けれど、実際は違った。



(飛鳥はただ、人を傷付ける恐ろしさを再認識して、怖くなったから…謝っていただけなんだ)



気付いて、驚いて、怖じ気づいただけの……臆病者。


そして、怯えた末に――俺を傷つけた事実から逃げようとしているから、部屋の中から出てこない。



『―――――ッ!』



それに気付いた俺は、強く拳を握りしめると、飛鳥の部屋を後にした。



(飛鳥は、俺と元の関係に戻る事を望んで謝っていた訳じゃなかったんだな……)



その事実に、少し落胆しながら。



―――――…
――――――…




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