総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
だからといって、飛鳥にいつまでも引きこもっていて欲しくない。
(………クソッ)
俺は心の中で悪態をつきながら、自分の拳をベッドに叩きつけた。
……今までなら、俺は無理矢理飛鳥の部屋に入っていた。
いつまで悲劇のヒロインぶるつもりなんだ。
甘ったれんな。
『俺を傷つけた』という事を理由に、俺から逃げるな。距離を置こうとするな。
……そんな風に言いたい事を言って、飛鳥を挑発して。
お互いに殴り合いの喧嘩をすれば、仲直りなんてすぐにできた――そう、今までなら。
(……どうする?どうすれば、俺達は元に戻れる?)
照明を点けないまま、暗い部屋で立ち尽くして考える。
考えて、考えて……そして思いついたのは、『ヘタレ』を演じる、という事だった。