総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
……穴だらけの計画。
けれどそれは、様々な人間が飛鳥を助けた事によって成功した。
ただ……いくつか誤算があるとすれば、それは俺が[獄炎]の総長になってしまった事。
そして、
「お、らぁっ!」
――…俺が、思った以上に[獄炎]の奴らを気に入ってしまった事だった。
(本当は…飛鳥が過去を乗り越える事ができたなら、この勝負に負けてもいいかなって思ってたんだけど)
いつの間にか、[獄炎]のメンバーを大切だと思うようになってしまった。
…そして、思ったからには――
「そう簡単に……負けてたまるかぁぁあああ!!」
[獄炎]を、絶対に勝利へ導いてやる!!
俺は、決意を叫ぶと共に飛鳥の左ストレートを弾くと、そのままラリアットを繰り出した。
それを察知した飛鳥が素早くしゃがみ込み、そのまま足払いをかけてくる。
それを飛んで避けながら鋭く蹴り出せば、すんでの所で飛鳥が横に回避。
そのまま、立ち上がる勢いを利用して繰り出された飛鳥のアッパーを、後ろにバク転する事で避けつつ、飛鳥の顎を蹴り上げる。
……互いに一歩も譲らない攻防。
しかしそれは、俺にとっては有利な状況だった。