夢見るゾンビ
器具庫で用具を片付けていると、及川先生から呼ばれた。
及川先生は、野球部の顧問でもある。
「森永、ちょっと部室に来なさい」
いつもは温和な先生の表情が、少し固いように見えて、私は嫌な予感がした。
部室には、部長と赤松先輩が先に来て座っていた。
長いテーブルの向かい側に3人。
こちら側には、イスが一つ。
なんだか、尋問でも始まるような席の配置だ。
何を言われるんだろう?
席につく間の何秒かに、私は色々なことを考えた。
多分、由奈たちとのことに違いない。
大事な県大会が始まるってのに、マネージャー同士がいがみ合ってどうするんだ。
ちゃんと仲良くして、部の雰囲気を壊さないようにしてくれ。
とか、
門脇先生に聞いたけど、ロジンバッグで顔真っ白にしてたんだって?
何があった?いじめなら相談に乗るから、話してごらん…
とかかな?
だけど、3人の口から出てきたのは、全く予想外の言葉だった。