夢見るゾンビ

器具庫で用具を片付けていると、及川先生から呼ばれた。

及川先生は、野球部の顧問でもある。

「森永、ちょっと部室に来なさい」

いつもは温和な先生の表情が、少し固いように見えて、私は嫌な予感がした。

部室には、部長と赤松先輩が先に来て座っていた。

長いテーブルの向かい側に3人。

こちら側には、イスが一つ。

なんだか、尋問でも始まるような席の配置だ。

何を言われるんだろう?

席につく間の何秒かに、私は色々なことを考えた。

多分、由奈たちとのことに違いない。

大事な県大会が始まるってのに、マネージャー同士がいがみ合ってどうするんだ。

ちゃんと仲良くして、部の雰囲気を壊さないようにしてくれ。

とか、

門脇先生に聞いたけど、ロジンバッグで顔真っ白にしてたんだって?

何があった?いじめなら相談に乗るから、話してごらん…

とかかな?

だけど、3人の口から出てきたのは、全く予想外の言葉だった。


< 117 / 235 >

この作品をシェア

pagetop