夢見るゾンビ
頭の中に浮かんでくるのは、楽しい会話ばかりだ。
やっぱり、今日は深刻な話はなし!
何から話そう?
駆け寄ったりしてもいいかな?
颯太くんは照れ屋さんだから、そんなことしたら困っちゃうかな?
これから始まる夢のようなひと時に胸を膨らませながら、颯太くんがこちらを見てくれるのを待った。
颯太くんは、こちらを見なかった。
肩にかついだかばんで、顔を隠すように歩いていた。
そして、駅へ向かう人ごみの中へ、隠れるように消えていった。
私はただ、颯太くんを追いかけるのも忘れて、夜の街の中に一人、いつまでも立ち尽くしていた。