夢見るゾンビ
週明けの月曜日、クラスで私は完全にアウェーになっていた。
由奈が「ばんびは野球部でやかんの置き場所を間違えて部長に怒られ、その腹いせにやかんにスズメの死骸を入れ、結局野球部をクビになった」という噂をまことしやかに広めたらしい。
先週まで漂っていた「若干気まずい空気」は、いまや「完全に気まずい空気」に成り代わっていた。
朝、下駄箱の内ズックを履こうとすると、グチョグチョに濡れている。
廊下の向こう側から歩いてきたクラスメートが、小走りで通り過ぎていった。
教室に入ると、にぎやかにおしゃべりしていたみんなが、突然無口になり私に背を向けた。
なにこれ、中学の時と全く同じだよ。デジャブって奴?
「中学でも、高校でも同じ目にあうなんて。私がいけないからこうなったんだ」
そういう気持ちと一生懸命に闘いながら、私は前に進む。
大丈夫、私は悪いことはしていない。堂々としていればいいだけだ。
前向きスイッチ、オン!
ゴゴゴ・・・シュン。
先週前向きスイッチを多用したせいか、うまく機能しなくなっていた。
ようし、こんなときは・・・
超ウルトラスーパーデラックス前向きスイッチ、オーン!!
なんか夜用のナ○キンみたいな名前だけど、気にしない気にしない!
発進!ドガガガガガ・・・!