夢見るゾンビ
「竹内詩織です」
自己紹介の順番は、斜め後ろさんまで来ていた。
ふーん、竹内さんっていうのか。竹内ってどこかで聞いたような名前だけど・・・
まぁ、いっか。
竹内さんは、さっきと全く同じ無表情だ。
真っ直ぐ前を見据えていたけれど、誰とも目を合わせなかった。
いつもこうなんだね。よく見れば涼やかな目元の、なかなかの美人さんだ。
こういう人をクールビューティというんだ。同い年のはずなのに、随分オトナっぽく見える。
「アタシの夢は・・・」
竹内さんの口が開いた。力のある、よく通る声。
「秘密です」
緩み始めていた教室の空気が、固まった。
その中で、竹内さんだけが一人、軽くお辞儀をして席に戻った。