夢見るゾンビ
王子さまはテンパって赤みを帯びた顔を上げた。
わお、超イケメン。
優しそうな二重のまぶたが縁取る、大きなブルーの瞳。
線の細い鼻筋。
薄ピンクが差す、アヒル口の唇。
「Oh、アリガト」
にこっと微笑んだ顔が、少年みたい。
「お母さん、あの人面白い格好してる~」
「だめ、見ないの」
王子さまを指差す子どもの手を、母親が引っ張って逃げていった。
そうそう、あまり見ちゃだめだ。
思わず見とれてしまった私も、我に返って改札を抜けた。
「アノ、スミマセ~ン」
王子さまが追いかけてきた。
え、なんで?声かけなきゃよかったよう!