夢見るゾンビ

「カラオケとかレストランとかお泊り会とか、料金は全部私持ち。あんたたちは、私と一緒にいたいんじゃない。お金と一緒にいたいんでしょ」

前に詩織とファミレスに行ったとき、詩織が「割り勘」という言葉を知らなかったことを思い出した。

―――そうか。

詩織は中学校のとき、お金目当ての友達にたかられてたんだね。

詩織が入学したての頃、誰とも親しくしようとしなかった理由が分かったような気がした。

「ひどーい!そんなこと、ないよねえ!」

「それなら、今のお友達だって一緒なんじゃない?ねぇ、これ全部、詩織のカードで払ってもらうんでしょ?いいなあ~」

詩織が言葉につまった。

「・・・」

そして、少し悲しげな目をした。

私は頭に血が昇る。

ムキー!頭にきた!!

何か言ってやらないと気がすまないよこれは!!

「ちょっと!何言って・・・」

立ち上がった私を制して、代わりに立ち上がったのはミーシャだった。

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