夢見るゾンビ

少し経ってから、ファミレスを出た。

外はすっかり夜になっている。

駅に着いたら、そこで解散。

別れを惜しむように、みんなゆっくり歩いた。

「ホイッチョ、がんばれ!立つんだ、ホイッチョ!ワーワー!森のみんな、ありがとう!くっそ~悪の権化ババめ、男のマロンを見せてやる!」

ミーシャは、『ジジ森』のワンシーンを一人で再現して楽しんでいる。

隣にいた詩織が、前を歩くミーシャの背中を見ながら私にそっと耳打ちした。

「私、さっき危なくミーシャを好きになりそうになった」

「えぇえええ!!」

詩織が見透かしたように笑う。

「ちゃんと捕まえておかないと、ダメだよ?」

「いやいや、そんなんじゃないし!どうぞどうぞ」

そう言って否定したけど、内心詩織の言葉にヒヤッとした自分に気づいてもいた。

詩織がミーシャを本当に好きになっちゃったら、どうしよう?

そう思って、不安になったのだ。

そんなことを心配するなんて、私どうしちゃったの?

だってバンビ・パーヤネンだよ?



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