夢見るゾンビ

「もしもし、ばんびぃ?

元気ですかぁ?

おかあさんは、元気でーす」

受話器から流れてくるのは、紛れもなくお母さんの声。

留守電に入っていたメッセージを、ずぼらな私は消去しないでおいたのだ。

「ばんび、今何してるのかなー?

友達、今日もいっぱいできたかなー?

あとで聞かせてねっ。

ばんび、大好き!

またね~。お母さんでしたぁ。テヘペロー」

友達、いっぱいできたよ?お母さん。

「もしも~し、ばんびちゅわんでしゅかぁ?

おかあさんどえーす。

こっちは今、ゴリラ豪雨って奴が降ってるわよ~ん。

ばんびちゃんの上の空模様は、どうでしゅかあ?

晴れてるといいなぁ。

じゃまたね、ばんびちゃんだーい好き!

Byおかあさんでした~」

空はどこまでも晴れてるよ、お母さん。

留守電に残されたメッセージを聞いているうちに、気づいたことがある。



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