夢見るゾンビ

みんなで手をつないで、頂上に立った。

「わあ」

みんな、しばし無口。

真っ青な空の向こうに、ぽっかりと浮かぶ富士山。

白い雪をかぶった富士山は、すごく遠くにあるはずなのに圧倒されるような存在感がある。

やっぱり、富士山は日本一の山だ。

「春にこんなにきれいに見れるのは、珍しいよ。良かったな、ばんび」

浩二おじちゃんが、私の肩を叩く。

「うん。ありがと、おじちゃん」

「・・・おじちゃんって」

浩二おじちゃん、がっくり。

「まぁまぁ、おじさん。元気を出して」

詩織が慰めているけれど、全く慰めになってなくて笑える。

「ようし、じゃみんなで富士山に向かって夢を語りましょー!」

門脇先生が言った。



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