夢見るゾンビ

野球部の部室に向けて、歩きだす。

私はゆなちゃんに声をかけてもらえたことが嬉しすぎて、歩き方を忘れてしまうほどだ。

あれ?右手と右足が、同時に前に出てるよ?

まぁ、いいか。前に進んでるから。

「なんか、歩き方がおかしいよ」

笑いながらゆなちゃんが、並んで歩いた。

友達と一緒に歩くって、なんてステキなことなんだろう。

「もう、ゆなちゃんとなら、地球の果てまで一緒に行く!」

私がそう言うと、廊下にまた、笑い声が響いた。

「地球の果てって、どこよ?」

ゆなちゃんの後ろには、いつもゆなちゃんと一緒にいるメガネっ子の田中さん。笑い上戸だ。

そしてそのさらに後ろには・・・

「颯太くん!ぼーっとしてると遅れちゃうよ!」

そう言ったゆなちゃんの声につられて振り返ると、また目が合った。

ちょっと照れくさそうな顔してついてくる、青木くん。青木くんも、野球部一本だもんね。

あぁ、友達と一緒ってなんて楽しいんだろう。

歩いているだけなのに、楽しくて仕方ない。

マジすかピョンピョン!

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