夢見るゾンビ
「青木くん!」
道路の反対側にいた青木くんは、自転車を降りてこちら側に渡ってきた。
そして、そのまま私の隣を歩き始める。
「俺も、帰りこっちなんだ」
「はぁ」
突然の展開に、私はなんと言っていいかよく分からない。
下校時間を過ぎて、学校からほど近いこの道路も私たちのほかに人影はない。
道路沿いに植えられた桜の木が、人目を阻むように青々とした若葉を繁らせて、ここはなんだか二人だけの世界みたいで・・・
え?なんかちょっと、いい雰囲気ですけど?
「なに、一人で笑ってたの?怪しい人みたい」
青木くんが、はにかみながら笑った。