夢見るゾンビ
「森永、車にひかれるぞ」
青木くんが苦笑い。
気づけば私は、歩道からはみ出して車道の真ん中に立っていた。
他に行く場所もないので、私はまた青木くんの隣に戻るしかない。
「し、失礼します」
青木くんは自転車に乗る気配もなく、並んで歩く。
「森永は、野球部のマネージャーになるってもう決めたの?」
「うん・・・」
「そうか、じゃぁよろしくな」
「うん・・・」
風が吹いてきて、草木がサワサワと揺れ始めた。
日が落ちた後の木の葉は若葉色を失い、黒い大きな一つの輪郭になりはじめている。
私はそれを見ながら、夢見心地で、ただうなずき続けた。