夢見るゾンビ

でも、お母さんが言ってた。

「ばんびだけじゃない。みんなも実は、ドキドキしてんのよ」

そう、そうだよね。私は自分にそう言い聞かせると、顔を上げる。

入り口近くにいた子と、目が合った。

栗色の長い髪に、目の大きな女の子。制服からのぞいている手足も、細くて長い。モデルさんみたいな子だ。

こんな非の打ち所のないような子も、ドキドキしてるんだろーか。

内心そう思ったけれど、私だって自分で言うのもなんだけどなかなかの美人さんだ。(そう言ってくれるのはお母さんだけだけど)

私は目をそらさずに、とびきりの笑顔を作った。

「おはよう!」



< 8 / 235 >

この作品をシェア

pagetop