お隣注意報
もやもやしながら店を出ると、あら不思議。
「あ、工藤さん。」
「えー?誰この人。」
暑苦しい、暑苦しいぞチミたち。
髪をくるくるにした女の人が男の人の腕に絡まっている。
その男の人とは、
「おはようございます長原さん。」
「こんにちは、工藤さん。」
…こんにちは強調しやがった。
仕方ないじゃない、起きたばっかりなんだから。
「はは、デートですかー。」
「…うん。工藤さん一人?」
ピシッと空気がはりつめた。
私の回りだけ。
ちなみに禁句を放った張本人はニコニコしている。
「もぉー詩蓮っ!!」
「ん?」
「あ、それじゃ失礼しましたっ」
「じゃーねー」
爽やかに私に向かって手を降る長原さんの隣の女の人から鋭い視線。
やっぱり彼女いたかー。
「リア充なんて爆発しちゃえーー!!!!!!!」
大声をあげてしまった私はダッシュでゲーセンへ駆け込んだ。
「ふふ、もうショボーンでもいいから私と結婚して下さい」
UFOキャッチャーでとったショボーンのクッションを抱き締めながらビールを飲む。
「ショボーン愛してるぉ~。…うん、このしゃわしゃわする手触りがステキ。ビューティホーだよ~。」
何が悲しくてショボーンにプロポーズしなくちゃいけないのよ。
でも今の私にはショボーンしかいないんだ!
「一生あなたに着いていきますぅ~…」
ショボーンの顔のなかで私は眠りに落ちた。