恋する家庭教師
「あんたも、さっさと俺の部屋に来ればいいだろう!!」


そう言うなり、私の手首を捕まえる。



「キャァ!!」



あまりにも強い力にビックリしたのと、いまだに靴を履いていたままだったから、バランスを大きく崩しちゃった。


葵君目掛けて倒れる私を支えたのは、香川先輩だった…。


「せ、先輩…ありがとう、ございます」

「怪我ないか? おい、葵~。手加減しろよ! 怪我でもさせたらどうするんだよ」



私は、先輩に抱きとめられたままの状態だった。
先輩の腕の中で、私は体を硬く硬直させてしまった。



だって…だって、先輩に抱きとめられた事に硬直したんじゃない…。


葵君の顔が…苦しげで、でも悲しげで…。




私の胸をギュッて締め付けられる。






どうしよう。
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