恋する家庭教師
正直、僕も緊張してる。



何度もツバを飲み込んでる。



「先輩は、ただの先輩だよ…。男の人は苦手だけど、先輩は苦手じゃないの…。不思議だけど。でも…でも、葵君は別…。先輩より苦手、だけど…離れたくないの…」


先生の事を信じたい。って事は…、確実に茜の香川先生の悪巧みかよ…。
でも、悪くないかもな…。こうして、先生の話も出来て、自分の話しも出来た。
誤解が解けた…。これが一番大事な事だ…。



ゆっくりと俺に近づいて、肩に顔を埋め体を抱きついてきた。



うゎあ…! ど、どうしよう!!


先生の髪が…! 俺の手に…。頬に…。

先生の匂いが、俺の神経を凍りつかせる。


「せんせ、ぃ…」

「…葵君の匂いがする」


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