笑う門にはオレ様がきた!!
後日、打ち合わせで
ホテルへとやって来た。


先方もうちの会社のコンセプトに
大きな満足と期待を持ってくれている。


一度動き出すとスケジュールだとか
どんどん、事が運び出す。


きっと
これから、更に
師匠は忙しい毎日になる。


一緒に住んでるとは言え
結構、会わなかったり
するときもざらにあったりするんだ。


正直、少し寂しい。


だけど、みんなで
勝ち取ったんだもんね。


私ももっともっと
頑張って師匠を助けなきゃ!


私のそんな思いを解っているのか
どうなのか


打ち合わせが終わった後に
ふと、私がこの老舗ホテルに
泊まった事がないと言う話になって


すると、師匠が


「じゃ泊まってくか?
何事も経験だしな。」


って予約もしていないというのに


あっと言う間に
部屋を取ってくれた。


しかもスイートルーム。


驚く間もないくらい
部屋にあっという間に案内され


そして、最上階にある
スイートルームの中へと入る。


部屋に入ると幾つもの
部屋がありその奥に
とても広いリビングがあった。


へぇ……
さすが老舗ホテル。


全体的にシックなカラーで
統一されていて
いかにも老舗らしい
重厚感を感じる。


それに調度品なんかのセンスも
実に品もよくて洗練されている。


そして、どーんと構えるように
置いてある大きな質感の良い
ソファー。


このソファーって
確かイタリアのメーカーだったっけ?


そこに座ると私は聞いてみた。


「師匠、一つ聞いてもいいですか?」


「なんだよ、改まって。」


と、言いながら
打ち合わせの為に着用していた
ジャケットを脱ぎ
無造作にソファーに投げながら
師匠が言う。


その、なんでもない
動作に一々ドキドキしながら
聞いてみる。


「師匠は、今回のコンペ
最初からうちが獲れるって
自信あったんですか?」


私の質問に師匠は少し考えてから


「どうかな……」


と言い、今度は滅多にしない
ネクタイを人差し指でククッと緩め
そしてスルスルと外しながら
師匠が続けて言う。


「ん~、自信って訳じゃないけど、
敢えて言うなら今回は
一緒にやってきたメンバーの事を
信じてたかな。
もちろん、お前も含めてな。」


そう言うと私の隣に並んで座り
肩を抱き寄せた。










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