笑う門にはオレ様がきた!!
運良くタクシーにも直ぐに乗れて
渋滞にも巻き込まれることなく
水族館にやってきたはいいけど……






すでに閉館してるんですけど。


「間に合わなかった?」


取り敢えず、師匠に電話しなきゃ。


携帯を出すとちょうど
師匠からかかってきた。


「はい、心音です
師匠、今どちらに…」


最後まで言い終わらないうちに


「着いたか?
早く裏口にまわってこい。」


言われた通り裏口へといくと
ニヤリと笑いながら
師匠が立っていた。


「ったく、おっせぇな
もうちょっとで帰るところだぞ。」


乱暴な言葉とは裏腹に
優しい顔で私を抱き寄せる。


そして、誰もいない水族館の中へ
入って行こうとする師匠。


「師匠?
ここ今日はもう、閉館してるんじゃ…」


「いいから、黙って
オレについてこいって。」


言われるままに
奥へ奥へとやってきて


水族館の中で
一番メインとなる
巨大水槽の前までやって来た。


するとーーー


巨大な水槽の前には
かわいい真っ赤な二人掛けのソファーと


その横には小さな丸テーブルがあり


そして
テーブルの上で
ソファーと同じ真っ赤な色した
キャンドルが置かれ


その灯りがテーブルに
用意されたワインとケーキを
ゆらゆらゆらゆらと照らしていた。


「し、師匠?」


「閉館後の水族館で
二人だけのクリスマス。
しかも極上のワインと
なんと、うさぎ堂のケーキ付き!
どうだ?
オレもやるときはやるだろ?」


と、得意気に私の目の前で
師匠が言う。







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