初恋インマチュア
act.1
動き出した歯車
「足見せて」
「…い、いや、あの……」
「痛いんだろ?」
「で、でも……」
「早くー」
「うぅ……」
保健室のソファーに座っている私の目の前にしゃがんで、唇をタコみたいにつきだしながら拗ねたような顔をして見上げてくる高橋くん。
恐る恐るゆっくりと足を差し出すと、高橋くんは満足そうにして私の足首に触れた。
「おー!腫れててすげー熱い」
「痛……!」
触られた箇所がズキッと痛んで無意識に出てしまった声を聞くと、高橋くんは何故か嬉しそうにしながら手元にあった救急箱から大きめの湿布を取り出して
「じゃ、脱がすぞー」
と、言いながら私のハイソックスに指をかけた。
「へ?…あ、あの……っ!」
「ん?」
「どうして靴下…」
「え?だって、靴下脱がさないと湿布貼れないし」
「そ、それくらい自分で出来ます、から…!」
すでにハイソックスを半分くらい脱がしている高橋くんの手を慌てて押さえる。
「ちょ、触んな!」
「あ…!ご、ごめんなさい……!」
高橋くんが急に大きな声を出して手を振り払ったので、怖くなって咄嗟に手を離してしまった。
咄嗟に謝ってみたけど、高橋くんはそれっきり無言になって黙々と私の手当てを進めた。